特集 感染症診断へのアプローチ
各論
12.性感染症(STD)
松本 哲朗
1
Tetsuro MATSUMOTO
1
1産業医科大学泌尿器科
pp.1417-1427
発行日 1998年10月30日
Published Date 1998/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542903901
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はじめに
性感染症(sexually transmitted disease;STD)は性行為で伝播するすべての感染症を指し,多種多様の感染症が含まれる.わが国では,従来,梅毒,淋疾,軟性下疳,性病性リンパ肉芽腫の4疾患を性病予防法に定めていたが,現在では性感染症と呼び,幅広い疾患群として捉えられている.その中にはHIVで起こるAIDSや肝炎ウイルスによる肝炎も含まれる.
このような幅広い疾患群であるSTDでは,確実な診断治療の目的から簡便,迅速で,信頼性の高い臨床検査法が必要である.従来,培養法や酵素抗体法が主流であったSTD検査法であるが,近年,感度,特異性のより高い遺伝子診断法が開発され,普及してきた.DNAプローブ法や遺伝子増幅を応用したpolymerase-chain-reaction(PCR)法やligase-chain-reaction (LCR)法などである.一方,治療法においても,新しい有効な薬剤の登場が相次ぎ,治療上の問題点は少なくなってきた.しかしながら,薬剤の使用頻度の上昇とともに,耐性菌の増加もみられている.
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