特集 感染症診断へのアプローチ
各論
4.肝・胆道系感染症
斧 康雄
1
Yasuo ONO
1
1帝京大学医学部内科
pp.1321-1333
発行日 1998年10月30日
Published Date 1998/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542903892
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はじめに
肝・胆道系の主な感染症には,胆嚢炎,胆管炎,肝膿瘍がある.近年,画像診断の進歩により肝・胆道感染症の早期診断が可能となった.治療面でも,超音波(US)検査を利用した穿刺術やドレナージ術,内視鏡的胆嚢摘出術などが施行され,抗菌薬療法においても胆道感染症の主な起炎菌である腸内細菌群に対して,優れた抗菌力を有し,胆汁中にも良好な移行性を示す注射用β-ラクタム薬やニューキノロン薬などの開発がみられている.その一方で,肝・胆道感染症の主な原因となる高齢者を中心とした胆石保有人口の増加や,肝・胆・膵の悪性腫瘍患者の延命に伴い,これらの患者に発症する慢性・難治性の肝・胆道感染症も増加している.肝寄生虫感染症は,比較的まれな疾患であるが本稿では,アメーバ性肝膿瘍,日本住血吸虫症,肝吸虫症,肝包虫症,肝蛭症について概説する.
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