特集 神経系疾患と臨床検査
Ⅴ.神経病理
3.中枢神経
1)髄鞘染色と軸索染色
橋詰 良夫
1
,
吉田 眞理
1
,
甲谷 憲治
1
,
水野 俊昭
1
Yoshiori HASHIZUME
1
,
Mari YOSHIDA
1
,
Kenji KOUTANI
1
,
Toshiaki MIZUNO
1
1愛知医科大学加齢医科学研究所
pp.1541-1544
発行日 1997年10月30日
Published Date 1997/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542903545
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はじめに
中枢神経系の病理所見を正しく読み取り病理診断を行い,その病態を明らかにするためには,一般臓器の病理と異なるいくつかの特徴を認識する必要がある.その1つは病変の広がり,分布がそれぞれの疾患によりきわめて特異であることである.そのためには脳の解剖と機能を正しく理解することが重要で,脳幹部や基底核では標本作製部位がすこしずれることにより必要な部位を検索できないことになる.神経疾患による病変選択性を考えるとこの点を最も重視する必要がある.もう1つは中枢神経系を構成する神経細胞とグリア細胞の特徴がほかの臓器と異なることが多い点である.部位により神経細胞の形が異なり,その線維連絡も複雑である.そのほかに神経疾患によって出現してくる神経症候とその病変部位との関連を考慮することが神経病理を正しく理解するのに必要であるということである.髄鞘染色と軸索染色は日常的に行われる最も重要な染色方法であり,HE染色と合わせて標本を見ることにより,ほとんどの神経病理所見を正しくつかむことができるものである.
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