特集 神経系疾患と臨床検査
Ⅴ.神経病理
2.末梢神経
5)直腸生検の実際と所見
池田 修一
1
Shu-ichi IKEDA
1
1信州大学医学部第3内科
pp.1536-1540
発行日 1997年10月30日
Published Date 1997/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542903544
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はじめに
リピドーシスを代表とするneuronal storage diseaseの診断に際しては,神経細胞における異常蓄積物の存在を形態学的に証明する必要がある.この目的のため古くから外科的な直腸生検が行われ,固有筋層内にある腸筋神経叢(Auerbach's plexus)が観察されたが,本法は患者への侵襲が大きかった.これに対し筆者らは内視鏡下の直腸生検により粘膜下神経叢(Meissner's plexus)を取り出し,組織学的ならびに超微形態学的に神経節細胞を観察している.本法は容易に施行できるため,neuronal storage diseaseのスクリーニング法として役立っている.さらに筆者らは外来性および内在性の自律神経支配が豊富な直腸生検組織を用いて,自律神経障害の形態学的評価も行っている.そこで本稿では筆者らが行っている直腸生検の実際的手技とその有用性について解説する.
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