特集 神経シンポジウム
シンポジウムⅢ 髄鞘形成と二次変性
「髄鞘形成と二次変性」に関する討論
岡本 道雄
1
1京大医学部解剖
pp.744-746
発行日 1965年12月25日
Published Date 1965/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904242
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司会 最初の2題はmyelinationの問題でありますがその際末梢のglial cellに重点をおいた話,それからさらにその際にaxonの働きというものを考慮した仕事,それから谷さんの電顕によるaxonの変化のdetailとか,myelinの化学変化と電顕像による観察とか,さらに二次変性の際のgliaの構造変化とかいうようなものにつきまして,それぞれ関連をもつた多くの問題がございますので,それから御意見をだしていただきます。
里吉営二郎(東邦大内科) 米沢先生のお話しではtransketolaseがmyelinの機能にきわめて重要だということですが,transketolase活性については私どもの教室で数年来行なつておりますので簡単に報告いたします。測定はBrinの方法で,臨床的には溶赤血球で行なつています。B1欠乏の時には一般にbispecificに反応し,早期に変化が現われるといわれていますが,わが国ではB1欠乏,脚気が少ないので強い変化をみた例はありません。ラッテで実験的B1欠乏症を造ると約30日で痙攣,歩行障害などを起こして死亡しますが,この時のtransketorase活性を各臓器でみると,心,筋,肝,腎,血球いずれも8日目はり低下し,末期にはTPP効果で50〜70%の低下を示してきます。ただ脳ではこの低下は少なく,末期でもTPP効果は18%にすぎません。
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