コーヒーブレイク
あけくれの夢
屋形 稔
1
1新潟大学
pp.441
発行日 1997年4月15日
Published Date 1997/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542903293
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1996年の夏の終りごろ,文化勲章作家遠藤周作氏が74歳で逝去した.この方は医療問題をテーマにしたエッセイも数多く書いている.例えば,産経新聞に1991年から2年間に99回連載し好評だった「花時計」をまとめた「心の航海図」などをひもとくと,約5分の1は医療問題である.
さり気なくわかりやすいタッチの中で深刻な医療問題を取り上げ,読者に訴えかけている.いきおい老人問題にも筆が向く.ご自分でも,"このところ病院問題ばかり書いている.しかし老齢化社会が広がり,どこの病院へ行っても年配の人で待合室が埋っているのを見ると,病院問題は20世紀の日本の一番大きな社会問題と思わざるをえない"と書いている.また,"私が今一番望むのは長寿ではなく,他人に迷惑をかけないうち,また自分があまり孤独にならぬうちにそう痛くない病気でこの世をおさらばすることだ"というのもある.
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