今月の表紙 深部皮膚真菌症の臨床シリーズ・4
まれな深部皮膚真菌症
山口 英世
1
,
内田 勝久
1
1帝京大学医真菌研究センター
pp.356-357
発行日 1997年4月15日
Published Date 1997/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542903283
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これまで述べてきたスポロトリコーシス,クロモミコーシス,フェオヒフォミコーシスのいずれとも異なる病態の深部皮膚真菌症の原因となる比較的まれな糸状菌が少なからず知られている.こうした真菌が引き起こす代表的な疾患は,主に足や手の皮膚や皮下組織(ときには骨まで)を冒す慢性局所性感染であり,足菌腫またはマズラ菌症と呼ばれる.臨床症状としては,顕著な腫脹(肉芽腫),瘻孔,顆粒状膿などを特徴とする.
足菌腫の起因菌としては,Exophiala jeansel-mei, Pseudallescheria boydii(不完全世代Scedo-sporium apiospermum),Madurella mycetomatis, M.griseaなどの黒色真菌,Fusarium spp.,Acre-monium spp.,Aspergillus nidulansなどの非着色糸状菌,合せて15菌種ほどが挙げられている.さらに,足菌腫以外の病態を呈する深部皮膚真菌症を引き起こす非着色糸状菌もあり,わが国ではPaeciloimyces spp.が比較的高い頻度で分離される.幾つかの代表的菌種について形態学的特徴を以下に示す.
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