特集 血栓症と血小板凝固線溶系検査
血栓症の検査
4.血管内皮細胞の検査
5) PGl2生成能・尿中2,3-dinor-6-keto-PGF1α
安藤 泰彦
1
Yasuhiko ANDO
1
1東海大学医学部臨床病理
pp.195-197
発行日 1996年10月30日
Published Date 1996/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542903124
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
測定意義
プロスタサイクリン(PGI2)は,細胞膜のリン脂質から放出されたアラキドン酸より,プロスタグランジン(PG) G2,H2を経て,血管内皮細胞(以下,内皮細胞)のPGI2合成酵素によって合成される.PGI2は強力な血管の拡張作用と血小板機能抑制作用を有しており,血管内皮の持つ抗血栓性の主役を演じていると考えられている.
一方,内皮細胞とは対照的に,血小板においてはPGH2から,強力な血管収縮作用と血小板凝集作用を有するトロンボキサンA2(TxA2)が合成される.そして,虚血性心疾患や脳血栓の成因の一部に,PGI2とTxA2のバランスの異常が関与しているのではないか,との仮説が提唱されて注目を浴び1),さまざまな角度からの研究がなされてきた.
Copyright © 1996, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.