特集 免疫組織・細胞化学検査
基礎と技術
1.免疫組織化学の原理と発展
加藤 良平
1
Ryohei KATO
1
1山梨医科大学第2病理学教室
pp.10-13
発行日 1995年10月30日
Published Date 1995/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542902648
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はじめに
免疫組織(細胞)化学;immunohisto (cyto) chemis-tryは組織や細胞中の特定の物質を抗原抗体反応を利用して特異的に検出する方法で,1941年にCoonsら1)によって開発された.その後,ここ半世紀の間にさまざまな手法が生み出され,試みられ,そして医学・生物学を中心に広い分野で応用されてきた.とりわけ,われわれの領域である病理学の分野に限ってみても,さまざまな病気の本態やその成り立ちの解明に免疫組織化学が果たした貢献には目を見張るものがあるといってよい.また,組織診断や細胞診断などの外科病理の領域にも免疫組織化学は早くから取り入れられ,現在では病原菌の同定,炎症の種類の確定,腫瘍の良悪性の判定,腫瘍細胞の由来や,その性格あるいは予後の推定などに関して多くの知見が集約され,体系づけられて,この分野でもなくてはならない手法の1つとなったといえる.
本稿では免疫組織化学の概要としてその発展の歴史的背景と本技法の基本的手技と原理について述べていきたいと思う.
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