ここまで来た癌免疫療法 最終回
癌免疫療法の今後の発展のために
田原 秀晃
1
,
佐藤 まりも
1
,
高山 卓也
1
,
安藤 裕一
1
,
市川 直哉
1
,
竹田 明彦
1
,
別宮 好文
1
,
角田 卓也
1
Tahara Hideaki
1
1東京大学医科学研究所先端医療研究センター外科・臓器細胞工学分野
pp.1112-1116
発行日 2003年8月20日
Published Date 2003/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407101485
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はじめに
これまで1年あまりにわたって,急速に進歩しつつある癌免疫療法に関連する情報を提供してきた.このシリーズの最初に紹介したように,これまでさまざまなタイプの癌免疫療法が検討されてきた.歴史的にみてそのなかには,開発の初期段階にて脚光を浴びたものの臨床的には成功しなかったものが多数存在する.しかし,長年にわたる着実な研究により,その有用性が科学的に認められた抗CD20抗体や抗Her2/neu抗体のような薬剤も少数ながら出現してきているのも事実である.これらの希少ではあるが成功した例からその考え方や開発手法をうまく学ぶことができれば,理論的には有望であると考えられながら,臨床の場での地位を確立するには至っていないT細胞による腫瘍特異的な細胞傷害性を利用した免疫療法の開発も進み,確立された治療法ともなり得るであろう.
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