特集 ホルモンと生理活性物質
各論
9.膵ホルモン系
2)グルカゴン
川井 紘一
1
Koichi KAWAI
1
1筑波大学医学専門学群臨床医学系内科
pp.192-194
発行日 1994年10月30日
Published Date 1994/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542902221
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生合成・分泌・機能
1.生合成
膵島の細胞から分泌され,肝臓からのブドウ糖放出を刺激するグルカゴン(glucagon)は29アミノ酸残基より成るポリペプチドである(分子量3,485).歴史的には血中にグルカゴンのRIAに交差する消化管由来の物質があることがわかり,前者を膵グルカゴン,後者を腸管グルカゴンと呼んだ.その後グルカゴン遺伝子が解明され,グルカゴンの生合成が膵α細胞と腸管L細胞では異なることがわかった1)(図1).
膵α細胞ではプログルカゴンの33-61部分がグルカゴンとして生成されるに対し,L細胞では1-69として60~80%,1-33と33-69として20~40%生成される.1-69はグリセンチン,33-69はオキシントモジュリンと呼ばれ,腸管グルカゴンの主要な構成成分である.少量だが33-53も生成される〔グルカゴン(1-21)〕.図1のごとくプログルカゴンはC端側にグルカゴンと一次構造が類似した2つのペプチドを含んでおり,各々グルカゴン様ペプチド(GLP)-1,-2と呼ばれる.L細胞からはGLP-1と-2は分離して分泌されるのに対し,α細胞からは主に両者が分離されないままで分泌される.図1には各々の推定産生量が%で表示されている.
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