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膵内分泌細胞・小腸細胞とグルカゴン
膵ランゲルハンス島(膵島)は膵全体の約1%を占める4種類のホルモン産生細胞から構成されており,インスリン(膵島の約70%を占めるβ細胞から分泌)とグルカゴン(膵島の約20%を占めるα細胞から分泌)は血糖の恒常性の維持に重要な働きをしている.膵ホルモンは,自身の細胞または周囲の細胞を制御しながら協調した機能ユニットを構成している(オートクリン,パラクリン).膵島を構成する内分泌細胞は膵島において均一に分布するのではなく,β細胞が中心に位置し,その周辺にα細胞などが分布する.臨床の残存β細胞機能を推定する検査であるグルカゴン負荷試験のように,グルカゴンは最も強力なインスリン分泌刺激ホルモンであり,プログルカゴンを前駆体としてプロセシングにより,グリセンチン関連膵ペプチド(glicentin-related pancreatic polypeptide;GRPP)とmajor proglucagon fragment(MPGF)であるグルカゴン様ポリペプチド(glucagon-like polypeptide;GLP-1,GLP-2)が生成される(図).一方,グルカゴン遺伝子は消化管細胞でも発現しており,エンテログルカゴン(グリセンチン,オキシントモジュリン)とGLP-1は小腸L細胞から分泌されている.組織特異的なプロセシングによる生成物の差異はプロホルモン変換酵素(prohormone converting enzyme;PC1/3,PC2)の作用の違いに基づくと考えられる.血中グルカゴンの特異的な測定にはエンテログルカゴンとの交差反応の少ないC端特異な抗体を用いる.グルカゴン自体は不安定なのでアプロチニンEDTA採血を行い,速やかに血漿を遠心分離後に冷凍保存する.
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