特集 ホルモンと生理活性物質
各論
7.副腎髄質ホルモン系
6) MHPG
重富 秀一
1
Shuichi SHIGETOMI
1
1福島県立医科大学第3内科
pp.158-160
発行日 1994年10月30日
Published Date 1994/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542902209
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生合成・分泌・機能
1.カテコールアミン代謝とMHPG
MHPG (3-methoxy-4-hydroxyphenylglycol,図1)は血漿,尿および髄液中に存在するノルエピネフリン(またはエピネフリン)の代謝産物の1つである.カテコールアミン(ドーパミン,ノルエピネフリン,エピネフリン)は貯蔵顆粒内でのみ遊離型のままでも安定であり,顆粒外では酵素の作用を受けて速やかに代謝される.ノルエピネフリンおよびエピネフリンはモノアミン酸化酵素(monoamine oxidase; MAO)とカテコール-O-メチル転換酵素(catechol-O-methyl-transferase;COMT)による代謝を受けて最終代謝産物のバニリルマンデル酸(vanillil mandelic acid; VMA)またはMHPGになる.神経組織内と非神経組織とはカテコールアミンの合成と代謝に関与する酵素の分布や性質が異なるのでMHPG産生量は臓器によりさまざまである.アルコール脱水素酵素によるアルデヒド基の還元反応がMHPGの生合成に不可欠な反応過程である.体液中のMHPGは中枢神経活動の変動に伴い増減するが,末梢交感神経活動とは必ずしも相関しないので,中枢のノルエピネフリンの代謝と末梢クロム親和細胞(交感神経あるいは副腎髄質)におけるカテコールアミン代謝動態には明らかな相違があると思われる.
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