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猫引っかき病―Rochalimaea henselae感染症
舘田 一博
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1東邦大学医学部微生物学教室
キーワード:
猫引っかき病
,
Rochalimaea hensetae
Keyword:
猫引っかき病
,
Rochalimaea hensetae
pp.1080-1082
発行日 1994年9月15日
Published Date 1994/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542902109
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猫引っかき病は,その名のとおり猫に引っかかれた部位の紅斑,丘疹,膿癒に引き続き,局所リンパ節腫脹と発熱を主徴とする疾患である.本疾患のほとんどは,リンパ節腫脹,発熱という典型的な臨床症状の出現のあと数週間で自然治癒傾向を示すが,まれに1年以上にわたって症状が持続する症例,急性脳症を合併する症例,またAIDS患者や臓器移植患者などの免疫能低下患者においては敗血症性ショック様に急激に全身状態が悪化する症例も報告されている.本疾患の起炎病原体が長い閲不明であったことから,臨床における本症の診断は,猫との接触歴および引っかき傷の特定,リンパ節腫脹などの臨床症状,および患者由来抗原を用いた遅延型皮内テストなどに頼らざるをえなかった.しかし,症例によっては悪性疾患を否定することができずリンパ節生検を余儀なくされる症例もあり,本症の起炎病原体の決定および血清診断法の確立が期待されてきた.
猫引っかき病の病原体に関しては,1983年にWearら1)がWarthin-Starry染色を用いることにより,本症患者のリンパ節に多形性を示すグラム陰性桿菌が存在することを報告し,1988年には患者リンパ節から本菌の分離に成功している2).その後アメリカのCDCのグループも同様に患者リンパ節から起炎菌と考えられる病原体を分離しており,"Afipia felis"と命名した3).
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