今月の主題 前立腺と睾丸
話題
プロテイン 1
伊藤 喜久
1
Yoshihisa ITOH
1
1自治医科大学臨床病理学教室
キーワード:
プロテイン1
,
精漿
,
精嚢腺
Keyword:
プロテイン1
,
精漿
,
精嚢腺
pp.697-698
発行日 1994年6月15日
Published Date 1994/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542902007
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Protein 1(P1;urine protein 1;UP1)は,Jacksonらにより腎不全患者尿中から分離精製された分子量14kDa, pI4.7の低分子蛋白質で筆者らの研究により,SinghらがDNA塩基配列から構造決定したヒト肺Clara細胞分泌蛋白(CC10)2)と同一物質であることが明らかにされている3).最近,Bernardらは,質量スペクトルを用いてP1の分子量をより正確に測定し,16kDaであることからCC16と新しい呼称を提唱している(表1).
臨床研究を広範に進めているのはやはりBer-nardであり,DAKO社(Copenhagen)から,抗原,抗体の提供を受けてラテックス凝集反応による定量法を初めて確立,尿中男女差,尿細管障害の定量分析,肺胞洗浄液中の動態分析など優れた業績を発表している4,5).一方,筆者らは,1980年代後半に,尿細管障害患者尿中に未同定の蛋白質を発見,尿から粗精製した段階で,既存の各種抗体と反応させたところ,P1であることを確認,Jacsonらの発表に遅れること1年後に,硫安塩析法,各種クロマトグラフィー法を組み合わせて慢性腎不全患者尿から高度に精製したP1を得て,物理化学的性状,1次構造を決定し,初めてモノクローナル抗体を作製,酵素免疫法を確立し追撃を開始した2,6).
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