今月の主題 前立腺と睾丸
話題
自家睾丸移植
藪元 秀典
1
,
生駒 文彦
1
Hidenori YABUMOTO
1
,
Fumihiko IKOMA
1
1兵庫医科大学泌尿器科学教室
キーワード:
自家睾丸移植
,
停留睾丸
,
顕微鏡下血管吻合術
Keyword:
自家睾丸移植
,
停留睾丸
,
顕微鏡下血管吻合術
pp.699-700
発行日 1994年6月15日
Published Date 1994/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542902008
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1.はじめに
停留睾丸は男児の先天性疾患としてはきわめて頻度の高い疾患であるが,治療についてはいまだに多くの課題を抱えている.一般に,本来位置すべき陰?内に手術的に睾丸を下降させることにより治療されるが,これによっても造精能障害や発癌の危険性が完全には取り除けない可能性が示唆されているからである.しかしながら,現時点での唯一の治療法が手術による治療,すなわち睾丸固定術であるという状況に変わりはない.
一方で,睾丸固定術自体にも大きな課題がある.停留睾丸の多くは陰嚢に比較的近い鼠径部以下に下降しているため,手術においての困難は少ないが,鼠径管よりも高位,すなわち腹腔内に存在するような高度な停留睾丸では状況は一変する.睾丸には精子の通過路である精管に加え,睾丸を支配する動静脈が付属しているが,睾丸を下降させるに当たってこれらを損傷しないことが必要である.高度な停留睾丸では,この血管の長さが陰?内に睾丸を下降させるために十分な長さのないことが少なくない.自家睾丸移植はこのような停留睾丸に対して適応となる手術法の1つである.
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