学会だより 第29回日本肝臓学会総会
世界の最先端をいく日本の研究成果の発表
小坂 義種
1
,
為田 靱彦
1三重大学臨床検査医学
pp.1122
発行日 1993年10月15日
Published Date 1993/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542901706
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1993年7月16~17日の2日間にわたり,第29回肝臓学会総会が,奈良市の県文化会館と新公会堂を主会場に,奈良医科大学第三内科教授辻井正会長の下に開催された.梅雨の晴れ間の初夏の陽光を浴び,新緑に輝く芝生に囲まれた広い奈良公園の中の唐招大寺を模した新公会堂は,訪れる人を天平の時代にタイムスリップさせる雰囲気を醸し出している.このような会場周辺のゆったりとした雰囲気とは別に,会場内では海外からの招待演者5人を含む3,000人を越す会員が集い,日ごろの研究成果の発表と熱心な討議が終日行われた.
第1日目の午前中は"C型慢性肝炎のインターフェロン療法の問題点(特に不応例と副反応について)","細胞接着因子と肝疾患"と題した2題の要請演題の発表と討議が行われた.私はインターフェロン(IFN)治療に関する要請演題の発表を拝聴したが,IFN投与終了後も6か月間以上,肝機能検査値の正常化が持続する著効例は,約30%の症例に認められたにすぎず,多数の症例が治療に抵抗性を示した.その原因として,C型肝炎ウイルス(HCV)ゲノタイプの相違や血中HCV RNAの多寡が指摘された.また,副作用では間質性肺炎,耐糖能異常,甲状腺機能異常など従来から指摘されていたもののほかに,眼底出血や肝薬物代謝の抑制なども報告された.
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