話題
Zellweger症候群の遺伝子変異
折居 忠夫
1
,
鈴木 康之
1
,
下澤 伸行
1
,
矢嶋 茂裕
1
Tadao ORII
1
,
Yasuyuki SUZUKI
1
,
Nobuyuki SHIMOZAWA
1
,
Shigehiro YAJIMA
1
1岐阜大学医学部小児科学教室
pp.230-232
発行日 1992年10月30日
Published Date 1992/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542901319
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1.はじめに
典型的なZellweger症候群(ZS)の患者の多くは生後半年以内に死亡する.その意味からもペルオキシソームは生体にとって極めて重要な細胞内小器官と言うことができる.ZSの病因は不明であったが,本年初めに筆者らによりZSのF群の遺伝子変異が同定された.それによるとペルオキシソーム膜蛋白質の一部に変異を起こし,膜のassembly (統合化)に欠陥を生じ,正常なペルオキシソームが形成されず,2次的代謝障害により致死的病像を呈する.このようにZSは生体膜研究の天然の実験系として,また種々の奇形を伴うことから,ペルオキシソームの器官形成への関与,さらには神経細胞移動障害の機構などの解明に極めて貴重な疾患である.本稿では主にZSのF群の病因であった遺伝子変異の同定について述べる.
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