特集 遺伝と臨床検査
I 総論
2.遺伝病診断の進めかた
三輪 史朗
1
Shiro MIWA
1
1(財)冲中記念成人病研究所
pp.19-25
発行日 1992年10月30日
Published Date 1992/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542901272
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●患者のみかた
先天代謝異常症に代表される種々の機能異常による疾患と,染色体異常症や奇形症候群など形態異常(奇形)を主とする疾患の2群に大別される.丹念な診察,詳細な病歴を調べ,遺伝性疾患が強く疑われる場合には,正確な家系図を作ることがたいせつである.家系図の書きかたに特定な取り決めはないが,図1,2に示す記号を用いるのが一般なので習慣づけておくよう心がけてほしい.
先天代謝異常症では,症状発現がいつだったかに注意する.同一酵素異常疾患でも家系によって発病年齢や症状の軽重に差異があり,乳児型,成人型などがあるためである.主に遺伝子の変異の違いによる.しかし環境条件の差で発病時期が違ってくることもある.一般的には先天代謝異常の診断は特定の酵素の活性測定や中間代謝産物測定によってなされるので,診察だけで病名の診断ができるといった特有の症状を呈しない疾患は少なからずある.
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