特集 アレルギーと自己免疫
III.自己免疫疾患
2.自己免疫疾患の検査
5)自己抗体
(5)抗ENA抗体
宮地 清光
1
,
鷹野 佐恵子
2
,
田川 まり子
2
Kiyomitsu MIYACHI
1
,
Saeko TAKANO
2
,
Mariko TAGAWA
2
1慶宮内科医院,保健科学研究所自己免疫血清センター
2保健科学研究所自己免疫血清センター
pp.193-195
発行日 1991年11月30日
Published Date 1991/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542900843
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はじめに
ENAは,extractable nuclear antigenの略で,生理食塩水や生食加リン酸緩衝液(PBS)に可溶な核蛋白物質である.
1972年Sharpらは,SLE,進行性全身性硬化症(PSS),多発筋炎/皮膚筋炎の3つの疾患の臨床症状を持ち,抗ENA抗体が陽性の例を混合性結合組織病(MCTD)と名付け報告した1,2).抗ENA抗体は,ENAで感作したヒツジ赤血球を用いた受身感作血球凝集反応(PHA)で検索された.さらにRNase処理ENAを用いたPHA法で抗体価が有意に低下,または陰性化するRNase感受性ENA抗体と,低下しないRNase抵抗性ENA抗体を見いだしていた.後に二重免疫拡散(DID)法にてRNase感受性ENA抗体は抗nRNP抗体,さらに最近ではU1RNP抗体とも呼ばれ,RNase抵抗性ENA抗体は,抗Sm抗体とほぼ例外なく一致した.ほかにspeckled型抗核抗体(ANA)を示し,ENAに対し沈降抗体を示す抗SS-B,抗Ki抗体なども広義に抗ENA抗体と呼ぶ.
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