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Ⅰ.各抗体検査の適応疾患
1 自己免疫性肝炎(autoimmune hepatitis:AIH)
持続的な肝障害,自己抗体陽性,血清グロブリン高値を特徴とした慢性・進行性の肝疾患である。小児例では,男女比1:2と女児に多いとされ,乳幼児から全年齢で発症し,症状や診断の機会はさまざまである。黄疸や白色便といった急性肝炎での発症,意識障害を伴う急性肝不全での発症,倦怠感や腹痛など非特異的な症状のために血液検査を行い,偶然肝機能障害に気づく場合もある。小児ではAIHと確定診断することは困難な場合が多く,ウイルス性,代謝性,膠原病など他の肝機能障害を起こす疾患を除外しながら診断をすすめることになる。AIHの診断は,国際自己免疫性肝炎グループ(International Autoimmune Hepatitis Group:IAIHG)が1999年に発表した改訂スコアリングを用いて行われることが多く,抗核抗体(anti-nuclear antibody:ANA),抗平滑筋抗体(anti-smooth muscle antibody:ASMA),抗肝腎ミクロソームⅠ抗体(anti-liver/kidney microsome type-Ⅰ antibodies:抗LKM-1抗体)が診断基準に含まれている1)。検出される抗体の種類によって,AIHはANA,ASMA陽性のⅠ型,抗LKM-1抗体が陽性のⅡ型の2種類に大別される。Ⅱ型AIHは欧米ではより若年発症であり,重症肝不全,肝硬変への進展が多いと報告されているが,わが国ではⅡ型はまれとされる。しかし,小児AIHでは,急性重症肝炎や重症肝不全の発症例もある。AIHは副腎皮質ステロイド薬が著効する例が多いとされるが,適切な治療が行われないと肝硬変や肝不全に進行する場合もあるため,できるだけ早期に診断し,早期治療介入することが重要である2)。
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