特集 アレルギーと自己免疫
III.自己免疫疾患
2.自己免疫疾患の検査
5)自己抗体
(11)抗ヒストン抗体
簑田 清次
1
Seiji MINOTA
1
1東京大学医学部第3内科
pp.206-208
発行日 1991年11月30日
Published Date 1991/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542900849
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はじめに
金身性エリテマトーデス(SLE)をはじめとする自己免疫疾患においては,さまざまな核成分に対する自己抗体が血清中に存在することがその最大の特徴である.抗ピストン抗体は抗DNA抗体と並ぶ代表的自己抗体であり,自己免疫疾患での出現頻度は非常に高率ではあるが,SLEにおける抗二本鎖DNA抗体,抗Sm抗体,抗RNP抗体,混合性結合組織病(MCTD)における抗nRNP抗体,進行性全身性硬化症(PSS)における抗トポイソメラーゼI抗体のように疾患特異性はあまり認められない.したがって,さまざまな自己免疫疾患に出現してくるが,従来有名なことは,薬剤誘発性ループスに非常に高頻度に出現することである.
自己抗体に関する研究は,最近,長足の進歩を遂げているが,その成果の主体は,疾患の再分類化と,自己抗体をプローブとして使用することによる細胞内での自己抗原の機能の解明,すなわち細胞生物学への寄与である.残念ながら,疾患特異性が非常に高い自己抗体ですら,その疾患の発症メカニズムや病態生理に自己抗体が直接的に関与しているという確かな証拠はない.このことは,自己抗体の研究を主体に行っている研究者にとって,大きなジレンマである.
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