特集 アレルギーと自己免疫
III.自己免疫疾患
2.自己免疫疾患の検査
2)リンパ球
(3)NK細胞活性の検査
内田 温士
1
Atsushi UTIDA
1
1京都大学放射線生物研究センター晩発効果研究部門
pp.160-161
発行日 1991年11月30日
Published Date 1991/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542900831
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■NK細胞の役割
NK (ナチュラルキラー,natural killer)細胞は,1970年代半ばに腫瘍細胞に対する細胞傷害反応を研究している過程で発見された.当時研究者は,自己あるいは同一組織型の腫瘍に対する特異的細胞傷害反応の発見を期待していた.実際,ある種の癌患者および発癌性ウイルスで誘導した担癌動物でそのような特異反応が観察された.しかしながら,特異抗原で免疫されていない正常の動物やヒトのリンパ系細胞もまた,ある細胞や株化腫瘍細胞を傷害することが判明した.この細胞傷害活性は自然に備わっているものと考えられ,この現象に関与するエフェクター細胞はNK細胞と命名された.
このようにNK細胞は細胞傷害反応によって検出されており,この細胞の定義は主として機能的なものであった.しかし最近の細胞生物学,分子生物学を含む広範な研究により,1988年に開かれた第5回国際NKワークショップで,NK細胞はT細胞レセプターのα,β,γ,δ鎖の再構成がなく,表面形質がCD3-CD16+またはCD3-CD16-のLGL (大顆粒リンパ球)と定義された.LGLとは形態学的には大型で,細胞質が広く,アズール顆粒を含むリンパ球である.
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