今月の主題 補体系
巻頭言
補体研究の新しい展開
廣瀬 俊一
1
Shunichi HIROSE
1
1順天堂大学医学部膠原病内科
pp.143-144
発行日 1990年2月15日
Published Date 1990/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542900036
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補体系はいわゆる補体成分以外に補体系のco-factorとして,そのカスケードに関係する多くの因子が存在する.それらの因子は物質として存在が検出されるとともに,その物質としての存在は生物学的な活性と関係して意味付けされることに意義がある.すなわち,補体系の研究ではC1~C9の補体成分と多数のco-factorについて,それぞれ個々に,また両群のそれぞれの因子相互間の関係を考えなければならない.このような補体系の個々の因子については,これまでも多くの研究があり,また現在でもそのものとしての存在とともに活性についての問題,補体系活性化の環境条件の問題に関連して研究され,次々と解明されている.
このような研究に関連して日本の研究者が占めた役割は大きい.しかし,このように補体は基礎的研究がおおいに進歩しているのに対して,その臨床的応用はあまりなされていない.このことは,補体系についての検査が物としての補体成分の定量と,活性因子としての補体の各成分の活性の測定を同時に行うことが困難であり,臨床の場におけるその方法がいまだ十分に確立されていないことと関係があると思われる.
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