増大号 AKI・CKDの診断・治療に臨床検査を活かせ
4章 腎疾患を知る—臨床検査ができること
臨床検査で迫る腎疾患
IgA腎症・IgA血管炎の診断および活動性・重症度の評価
小松 弘幸
1
1宮崎大学医学部医療人育成推進センター
キーワード:
IgA腎症
,
IgA血管炎
,
血清IgA値
,
血清IgA/C3比
Keyword:
IgA腎症
,
IgA血管炎
,
血清IgA値
,
血清IgA/C3比
pp.514-518
発行日 2024年4月15日
Published Date 2024/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542203597
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はじめに
IgA腎症は1968年にBergerらによって初めて報告された,世界で最も多くみられる原発性糸球体疾患である.その病因はいまだ明らかではないが,一部に遺伝的素因がみられるほか,上気道感染時に悪化することから粘膜免疫の異常の関与が考えられている.診断から約20年の経過で約30〜40%が末期腎不全となり,人工透析などの腎代替療法を要する予後不良の疾患である1).重症度の低い早期の段階で診断され適切な薬物療法が行われれば寛解に至る症例もあるため,早期診断につながる検査方法の確立は極めて重要である.
本稿では,診療指針に基づくIgA腎症の診断基準や重症度評価を概説した後,血清免疫グロブリンA(immunoglobulin A:IgA)値およびIgA/C3比の測定意義について文献的に考察し,最近注目されている新たなバイオマーカーも紹介する.最後にIgA血管炎についても簡潔に言及する.
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