--------------------
あとがき
山田 俊幸
pp.1464
発行日 2022年12月15日
Published Date 2022/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542203195
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
用語の専門家でもないのに,知ったかぶりの話をお許しください.カタカナ語で誤解していたことはありませんか.ハンバーガーチェーンが登場したときは,その手の外食はファーストフードと発語されており,しばらくfirstと思っていました.中古品の野外市場をフリーマーケットと呼びますが,free marketではなく,フランスでののみの市のflea marketに由来します.このfreeにはさらに誤解されやすい側面があります.“自由”というイメージで捉えると,smoke free areaは喫煙可になってしまいますが,freeはduty freeのように“免れる”と捉えるのが適切のようです.
話をfast foodに戻すと,これをファストフードと発語していたら(今はそうなっているようですが),誤解されることも少なかったと思ってしまいます.本当にせんえつですが,カタカナ語になった時点で,音引き(長音)が多く使われたことが少なからず混乱をもたらしているのではないかと思うのです.医学用語は独語に由来するものが多いせいか,長音を含むものがしばしばみられます.例えば,fibrinogen“フィブリノーゲン”は英語圏では“ファイブリノジェン”と発音されています.最近,“フィブリノゲン”と表記されるようになったのは英語の影響と拝察します.終末の長音である“…メトリー”,“…グラフィー”も長音をなくす方向のように思います.医学用語については,日本医学会分科会用語委員会が検討されていますので,正確な情報はそちらをご参考ください(https://jams.med.or.jp/dic/mdic.html).
Copyright © 2022, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.