増刊号 よくある質問にパッと答えられる—見開き! 検査相談室
感染症
CREが検出されたのですが,カルバペネマーゼ産生菌ではないといわれました.どういう意味ですか?
永田 美香
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1慶應義塾大学病院臨床検査科
pp.430-431
発行日 2021年4月15日
Published Date 2021/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542202671
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CREはカルバペネム耐性腸内細菌科細菌(carbapenem-resistant Enterobacteriaceae)の略称であり,CRE感染症は感染症法5類(全数把握疾患)に該当する1).この場合のCREは薬剤感受性試験結果によって定義される(表1)1).カルバペネム耐性の機序として,酵素(カルバペネマーゼ)産生による抗菌薬の分解,他のβラクタマーゼ過剰産生+外膜蛋白の変化などが挙げられるが,院内感染対策においてはカルバペネマーゼ産生による耐性化が重要となる.その理由として,カルバペネマーゼを産生する腸内細菌科細菌はCPE(carbapenemase-producing Enterobacteriaceae)と呼ばれ,カルバペネム系抗菌薬およびほとんどのβラクタム薬を不活化し耐性を示すことと,カルバペネマーゼをコードする遺伝子の多くはプラスミド上に存在し,菌種を超えて伝播しうることが挙げられる.
諸外国ではカルバペネマーゼを産生するCRE(CP-CRE)の分離頻度が高いこともあり,CPEとCREは同義語として使われるが,わが国ではカルバペネマーゼ非産生のCREや,CRE定義に該当しないCPEが多く検出されるため,検査を進めるうえで注意が必要である(図1).
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