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感染症
C.difficile感染症を疑って検査をしたところ,トキシンは陰性だけれど抗原は陽性と言われました.次に何をすればよいですか?
上蓑 義典
1
1慶應義塾大学医学部臨床検査医学
pp.422-423
発行日 2021年4月15日
Published Date 2021/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542202667
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Clostridioides difficile感染症(CDI)
Clostridioides(Clostridium)difficileはグラム陽性偏性嫌気性菌であり,院内下痢症の主要な原因の1つであるC.difficile関連下痢症(CDAD)を引き起こす.CDADは,C.difficileの産生する外毒素であるtoxin Aまたはtoxin Bが腸管の上皮細胞や免疫細胞に作用し,粘膜障害などを起こすことで下痢が生じる.このため,CDIの検査は下痢症の原因としてC. difficileのtoxinの産生があるかをみることが目的であり,下痢をしていない患者に検査しても意味がない.米国のガイドライン1)では24時間以内に3回以上,形のない便を認めた患者が検査適応とされており,わが国のガイドライン2)ではその指標としてBristol Score 5以上を用いるとされている.
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