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感染症
喀痰培養でCandida albicansが検出されたのですが,ミカファンギンを投与したほうがいいですか?
宇野 俊介
1
1慶應義塾大学医学部感染症学
pp.420-421
発行日 2021年4月15日
Published Date 2021/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542202666
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喀痰培養で検出されたCandida属の意義
Candida属は人の皮膚や粘膜に常在する真菌である.Candida感染症は,宿主防御機能が低下した場合や,広域抗菌薬の使用によって他の細菌が減りCandida属が異常に増殖した場合に生じる.つまり,殺細胞性抗癌化学療法の使用,免疫抑制薬の使用,広域抗菌薬の使用,血管内カテーテルの留置,人工物の留置,高カロリー輸液の使用などのリスクファクターを有する患者で起きる場合が多い.Candida感染症で頻度が高く重要なものは,まずは皮膚や粘膜の感染症である.さらに,血管内留置カテーテルを使用している場合,皮膚からカテーテルを介して生じる血流感染症が重要である.
喀痰を含む気道検体の培養で検出されるCandida属の多くは,採取される過程で混入してしまった常在菌である.Candida属による肺炎は非常にまれな病態であるため,気道検体で検出されたことのみで治療対象とすべきでないと,米国感染症学会のガイドラインに記載されている1).
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