増刊号 疾患・病態を理解する—尿沈渣レファレンスブック
Ⅴ 腎疾患
症候群と尿沈渣成分
無症候性蛋白尿・血尿
叶澤 孝一
1
,
長谷川 元
1
1埼玉医科大学総合医療センター腎・高血圧内科
pp.458-460
発行日 2018年4月15日
Published Date 2018/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542201563
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代表的な疾患・病態
無症候性蛋白尿および血尿(asymptomatic proteinuria and hematuria:APH)は,自覚症状がなく,健診で尿蛋白や尿潜血を指摘されたり,ほかの疾患で医療機関を受診した際に偶然に発見される蛋白尿および血尿で,定義に尿蛋白2g/日以下,高血圧や腎機能低下を認めないことなどが含まれる.また,健診や他疾患での検尿時に偶然に発見される蛋白尿や血尿のことをchance proteinuria, chance hematuria(CPH)という.
血尿の場合は,WHO(World Health Organization)の臨床分類の,反復性または持続性血尿症候群(recurrent or persistent hematuria:RPH)が類義であるが,RPHは潜在性または突然発症の肉眼的血尿または顕微鏡的血尿で,蛋白尿が陰性またはごく少量で腎炎症候群を示すほかの特徴がないものと定義されており,肉眼的血尿も含まれるために無症候性血尿より広義である.また,顕微鏡的血尿は,腰痛などほかに症候がなければ無症候性血尿と臨床的に同義となり,無症候性顕微鏡的血尿と呼ぶこともある.
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