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あとがき
佐藤 尚武
pp.1442
発行日 2017年11月15日
Published Date 2017/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542201439
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本号が書店に並ぶ頃には秋もかなり深まっていると思われますが,この“あとがき”は夏が終わり,秋に向かおうとする時期に書いています.今年の8月,東京地区は降雨のなかった日がわずか4日しかなかったそうです.今年の夏は,雨の非常に多い,冷夏の年として記憶に残りそうです.雨が多く,冷夏だった年というと,私の記憶のなかでは“梅雨明け宣言”が出なかった年が,強く印象に残っています.十数年前だったように思っていたのですが,調べてみると1993年であり,もう四半世紀近く前のことでした.非常に寒い夏で,国内の米は記録的な不作となり,タイ米などを緊急輸入した年です.この年の梅雨の降雨量は例年に比べて1.5倍ほど(147%)で,過去50年では最も多くなっています.これに匹敵するのは51年前の1966年の145%となっています.
今年の場合,“梅雨明け宣言”は出ていますし,東京地区も一時的に暑い時期はありましたが,8月の降雨量は1993年にも負けていないように感じられます.東京地区は,8月の平均気温も1993年以来の低さではなかったかと思われますが,関東以外の地域はそうでもなかったようです.また,米の品種改良が進んだこともあり,現時点では,1993年のような米不作のニュースは聞こえてきません.今年の夏は米国や中国でも記録的な豪雨があり,大きな被害が出ました.“異常気象”という言葉は毎年のように使われており,だんだん“異常”が当たり前になってきているように感じられます.
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