検査レポート作成指南・13
アイソザイム編
米川 修
1
,
山本 晶
2
1総合病院聖隷浜松病院臨床検査科
2総合病院聖隷浜松病院臨床検査部
pp.1012-1019
発行日 2016年9月15日
Published Date 2016/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542200939
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血中酵素の多くは一部の脂質や血液凝固線溶系の酵素と異なり,細胞内で本来の生理的機能を果たしている.可溶性分画(LDなど)やミトコンドリアに存在する酵素(m-CKなど)は細胞の破壊の程度に応じて血中に湧出・出現し,膜結合酵素(ALPなど),分泌酵素(アミラーゼなど)は産生過剰を反映し増加する1).
酵素は臓器ごとにそれぞれ分布が異なり,特定の血中半減期を有していることから,血中の酵素の種類・活性を評価すれば,損傷臓器の特定,損傷程度,あるいは損傷時期の推定も可能となる.さらに,アイソザイムを有する酵素では,アイソザイムパターンを解析することで損傷臓器を特定でき,損傷の程度や時期をより正確に推定することが可能となる1).
酵素活性増加時にはまず,由来を推定するためにLDであればLD/AST比,CKであればCK/AST比とCK-MB,ALPであればγ-GTとの比較,アミラーゼであればP-AMYを利用する1).
これらの情報だけでは診断のつかない症例に対しては,アイソザイムを依頼することで由来がより明らかになるとともに,先天性異常(酵素欠損)や後天性の異常,免疫グロブリンとの結合による見掛け上の高値,あるいは,低値を検出することができる.病態の本質に迫れることに加え,データ修飾に気付くことで誤った診断,対応を防ぐことにもなる2).しかし,最近は多くの施設でアイソザイムは外注化されているため,結果報告までに時間を要してしまうことが問題である.
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