検査説明Q&A・16
甲状腺関連項目の測定における自己抗体の影響を教えてください
村上 正巳
1,2
1群馬大学大学院医学系研究科臨床検査医学
2群馬大学医学部附属病院検査部
pp.573-575
発行日 2016年5月15日
Published Date 2016/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542200830
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
■血中甲状腺ホルモン濃度の調節機構
甲状腺ホルモンは甲状腺組織中のサイログロブリン(thyroglobulin:Tg)の分子のなかで合成される.その合成と分泌は,下垂体から分泌される甲状腺刺激ホルモン(thyroid-stimulating hormone:TSH)によって調節されており,視床下部-下垂体-甲状腺系にはネガティブフィードバック機構が存在する(図1).すなわち,一般にTSHの上昇は原発性甲状腺機能低下症を,TSHの低下は甲状腺中毒症を示す.
甲状腺から分泌される主な甲状腺ホルモンはサイロキシン(thyroxine:T4)であり,甲状腺機能低下症の治療に用いられるのは主にT4製剤であるが,生理活性は3,5,3′-トリヨードサイロニン(triiodothyronine:T3)が強い.甲状腺ホルモン脱ヨード酵素の働きによってT4は脱ヨードを受けてT3に変換され,生理作用を発揮する.
Copyright © 2016, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.