私の視点
自己抗体測定の落とし穴
氏家 英之
1
1北海道大学大学院医学研究院皮膚科学教室
pp.1154-1154
発行日 2021年12月1日
Published Date 2021/12/1
DOI https://doi.org/10.24733/pd.0000002695
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自己免疫性水疱症の自己抗体は現在,抗デスモグレイン(Dsg)1抗体,抗Dsg3抗体,抗BP180NC16a抗体が保険適用となっており,皮膚科の日常診療で頻用されている.しかし,まれに臨床像や蛍光抗体法の所見と上記の自己抗体検査の結果が合わず診断に苦慮することがある.
口腔内のびらんと体幹の水疱を主訴に受診した患者(図1,2)は,採血すると抗Dsg1抗体は陽性だったが抗Dsg3抗体は陰性だった.蛍光抗体直接法では表皮細胞間にIgGとC3が陽性で,病理組織像では基底層直上での裂隙形成がみられた.これらの結果は尋常性天疱瘡を強く示唆するが,抗Dsg3抗体が陰性なのは合わない.そこでDsg3 ELISA(Enzyme-linked immunosorbent assay)キットを用いて自前で抗Dsg3抗体価を測定したところ,今度は陽性だった.さて,どういうことだろうか?
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