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特集 甲状腺疾患の問題点
甲状腺疾患における自己抗体測定の臨床的価値
Clinical value of auto-antibody estimation in thyroid diseases
伊藤 国彦
1
,
西川 義彦
1
,
鈴木 琢弥
1
,
原田 種一
1
Kunihiko ITOH
1
1伊藤病院
pp.1225-1230
発行日 1967年9月20日
Published Date 1967/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407204394
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はじめに
自己免疫疾患の研究は慢性甲状腺炎の研究を中心に展開されてきた.すなわち1956年Roittら1)は橋本病患者の血清と人甲状腺抽出液との間に沈降反応を陽性にみとめ,橋本病患者の血清中には甲状腺抽出液を抗原とする抗体が存在することを見出した.同年Witebskyら2)は実験的に家兎を免疫学的に処理し,その甲状腺に橋本病様の変化が生じ,またその血清中に甲状腺抽出物に対する抗体を証明した.その後約10年の間に方法的にもまたその意義解明にも種々の研究が急速に進められて今日にいたつている.甲状腺自己抗体の検出も初期の沈降反応から,タンニン酸処理赤血球凝集反応(TRC),補体結合反応(MCF),さらにはcoonsの螢光抗体法などの発見により,きわめて鋭敏となり,また抗原の種類も分析されてきた.しかしながら自己免疫現象の機序はまだ解明されていない.自己抗体の存在が甲状腺疾患の原因になつているのか,あるいは自己抗体は甲状腺にみられる病変の反映として結果的なものかは議論が分れている.
著者らは約4年前よりTRCの測定を日常の臨床にとり入れているが,今日この検査をいかに利用しているか,臨床的な価値についてのべてみたい.また特にBasedow病のTRCについては項をあらためて詳述する.
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