技術講座 血清
甲状腺自己抗体の検出法
越智 幸男
1
,
梶田 芳弘
2
1滋賀医科大学第2内科
2公立南丹病院内科
pp.235-239
発行日 1981年3月1日
Published Date 1981/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543202235
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甲状腺の代表的な疾患である橋本病,バセドウ病ではともに甲状腺自己抗体の検出がその診断に大切である.特に橋本病は従来から代表的な自己免疫疾患として知られ,その病因に自己抗体が関与していることは明らかである.一方バセドウ病もまたその血中に甲状腺刺激性抗体の存在が確認され,現在では甲状腺細胞膜のTSH受容体に対する抗体ではなかろうかと推測されている.
このように甲状腺自己抗体には,甲状腺非刺激性であるが組織傷害性の特徴を有する抗体と,甲状腺TSH受容体を介して血中の甲状腺ホルモンを増加させ,甲状腺を機能亢進状態へと導く刺激性抗体が存在する.前者は橋本病のみならずバセドウ病にも検出される.後者はバセドウ病に通常特異的に検出されるが,その測定方法の違いによりLong acting thyroid stimulator(LATS),LATS-protector(LATS-P),Human thyroid stimulator(HTS),Thyroid stimulating immunoglobulin(TSI)など様々な名称で呼ばれている.私たちは特にThyroid plasma membrane binding immuno-globulin(TPMBI)と呼んだ抗体を検出している.
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