遺伝カウンセリング・12
遺伝子診断のジレンマ
藤村 聡
1
,
福井 次矢
1
,
小杉 眞司
2
,
依藤 亨
2
,
富和 清隆
2
,
藤田 潤
2
,
武部 啓
3
1京都大学附属病院総合診療部
2京都大学附属病院遺伝子診療相談室
3近畿大学原子力研究所
pp.658-659
発行日 2000年7月15日
Published Date 2000/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414903039
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【症例】父が脊髄小脳変性症で入院中の21歳の女性Aさんが,脊髄小脳変性症の遺伝子検査を受けたいと来院した.主治医から得た情報は,相談者の父親は遺伝子診断を受け遺伝性脊髄小脳変性症(常染色体優性遺伝)1型と診断され,現在寝たきり状態で,気管切開を受けている.Aさんと,兄,姉には父親の病気は遺伝性の疾患であるが,必ずしも子どもたちに遺伝しないと説明されている(50%の確率で遺伝するという表現はしていない).患者の子どもたち,とくにAさんは遺伝子検査を切望し,某大学に血液を送付することになったが,直前になって遺伝カウンセリング体制が整っていないとの理由で遺伝子検査を断られた.主治医は20代の未婚の女性に今後どう対応してよいのかに苦慮しているので,京大病院での遺伝カウンセリングを依頼したいとの内容であった.
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