樋野興夫の偉大なるお節介・5
人材育成の原点~対話学のすすめ~
樋野 興夫
1
1順天堂大学医学部 病理・腫瘍学
pp.660-661
発行日 2014年5月15日
Published Date 2014/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542103904
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同日,全国国立病院院長協議会関東信越支部総会・勉強会で,「がん哲学外来~医療の隙間を埋める~」(東京文化会館),放射線安全管理研修会で,特別講演『今,時代は「先楽後憂」から「先憂後楽」へ』(文京区シビックホール)の機会が与えられた.聴衆の職業・分野が異なると,同じスライドを使用しても,反応が違うことの,良き学びの時となった.まさに,「風貌を見て,心まで診る=病理学」の真髄を肌で感じた.「風貌を見て,心まで診る=病理学」とは,風貌をみて,心の状態を察することである.悲しいのか,悩んでいるのか,怒っているのか,不満なのかを察し,尊厳に触れ,言葉の処方箋を施すのである.病理学は,顕微鏡で,細胞の形態をみて診断する.風貌をみて,癌か,再生が正常かの本質を診断する.筆者は,「5歳の子どもから80歳の老人にも,同じ内容を語るように」と,若き日から教わった.その根拠は,ここにあろう.
週末は,「中皮腫パネル」(順天堂大学)で,診断困難な難治性中皮腫の多数の症例に接した.「高い純度のある,がん病理の専門性」の深い学びであった.引き続いて,文部科学省「がんプロフェッショナル養成基盤推進プラン」採択事業の2日間の研修会(順天堂大学)に出席し,「閉会の辞」で,「対話学のすすめ」を語った.早速,「締めのお言葉が胸に響きました,誠に有り難う御座いました」と身に余るお褒めのメールを頂いた.「人材育成の原点」の気付きでもあった.
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