- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
診療でも学習でも一層使いやすい構成となった改訂版
異常値の出るメカニズム,何と興味を引くタイトルかと思う.1985年に初版が出たとき,「おっ,待ってました」と購入したことを覚えている.たしか,河合忠先生が『medicina』という月刊誌に書かれていたのを元に書籍にとりまとめられたものであった.月刊誌は読んでいたので,書籍になって本当にありがたかった.なぜなら臨床検査を現象として記載している書籍は他にもあったが,本書のように「なぜ異常になるのか,どういうメカニズムで異常値になっているのか,その背景にはどんな病態があるのか」などの疑問に答えてくれる書籍は,本書が初めてではなかったかと思う.そして,今でも他書にはない特徴を引き継いでいるのがわかる.現在は河合先生が監修をされ,山田俊幸先生,本田孝行先生が編集を担当されている.臨床検査専門医として,臨床検査医学の研究者であり教育者であるお二人が,時代に即した改変を加えつつ,初版のスコープをそのまま維持し,拡張させていると思える.
初版が出てから30年を過ぎ,臨床検査もずいぶん変わった.技術の進歩による精度の向上,高感度化により,測定値がますます収束して,病態による微細な変化も捉えられるようになった.また,バイオマーカーという,病態よりも即病気を反映するような検査項目も開発されてきた.この臨床検査の進歩に追随するように,本書で扱う検査項目も増えてきている.そして,以前の版に比べて構成が少し変化している.すなわち,各章で検査群を扱っているが,その中で“総論”,“基本検査”,“基本検査に準ずる検査”と分けて書き込んでいる.これは,検査を段階的に進めていく診療上の検査依頼も意識してのことであろう.さらに,その章の中で,高頻度に測定するコアとなる検査項目が扱われている.まずは,基本検査に記載の検査項目を理解した後に,基本検査に準ずる検査に進めていくことが,診療でも学習でも必要である.
Copyright © 2018, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.