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あとがき
片山 善章
pp.720
発行日 2011年7月15日
Published Date 2011/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542102688
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本誌で「検査室におけるインシデント・アクシデント」を取り上げたのは,2006年の50巻4号だった.各論としては,生理機能検査,輸血検査,微生物検査,病理検査,血液・化学・免疫検査,それぞれにおけるインシデント・アクシデントについて執筆いただいた.巻頭言は筆者が担当し,そのなかで触れた「日本医療機能評価機構」が公表した報告書の内容について再掲する.2005年の1年間で病院において,患者に重い障害が残った重大な医療事故は1,114件にのぼり,原因別では,「確認を怠った」が事故全体の14.4%でトップであった.そのほか「観察を怠った」が12.2%,「判断を誤った」が11.7%であり,同機構は「基本的な動作を徹底していれば防げたミスも多い」と分析している.本号で司茂幸英先生が述べられている循環機能検査インシデントの内容は誤記入31%,依頼確認ミス26%であり,やはり基本的なミスでインシデントが発生している.
2006年の巻頭言にてもう1点,航空業界のインシデントレポートについて以下のことを述べた.「ちなみに航空業界ではインシデントレポートの質と量を決めるには5つの要因があるといわれている.①処罰に対する保護,②機密の保持と匿名化,③レポートの収集,分析を行う部門と処罰や人事管理を行う部門との分離,④報告者や施設への迅速で,役立つ,理解できるフィードバック,⑤レポートが記入しやすく容易に報告できること.
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