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あとがき
片山 善章
pp.662
発行日 2007年6月15日
Published Date 2007/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542101234
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骨粗鬆の「粗」,「鬆」はどのような意味があるのか,漢和辞典や広辞苑で調べてみた.「粗」の「そ」は大体意味は理解できる.「粗(あら)い」「こまかでない」あるいは「密」の対語であると記載されている.骨の骨塩量を測定する骨密度測定の「密」は「粗」の対語で名称がついている検査法である.「鬆」は「しょう」と読み「粗い」という意味で,「す」とも読むとあり,意味は「大根や牛蒡(ごぼう)などの芯に生じる孔(空洞)」である.骨粗鬆症は骨の構造から見ると,海綿骨の細かい網目状のネット構造が崩れて,網目の粗い構造に変化して骨が弱くなると説明されているが,牛蒡を輪切りにした状態で,外皮の部分が皮質骨,中心に向かって海綿骨に相当し,上品質で目詰まりが細かいのが正常であり,品質の悪い牛蒡が骨粗鬆症であると想像すればリアルである.
80歳の高齢者が,寝返りしたのが原因で肋骨を骨折した.X線撮影の結果は,第11,12肋骨が完全に骨折している.本人は激痛で顔が引きつっている.骨粗鬆症は明らかであるが,治療はどうするのか.鎮痛剤で痛みを抑えて自然に痛みが消失するのを待つだけ.何とも痛ましい事故?で,本人も大変だが家族も気が滅入ってしまう.高齢者骨折は様々な要因によって起こるので,日常生活の環境づくりに十分な配慮が必要である.
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