Japanese
English
シリーズ-検査値異常と薬剤・3
―臓器・組織に対する薬剤の影響―薬剤性腎障害
Influence of medicine on organ and tissue:drug-induced kidney disease
伊藤 喜久
1
Yoshihisa ITOH
1
1旭川医科大学臨床検査医学講座
キーワード:
薬剤性腎障害
,
間質性腎炎
,
トランスポーター
Keyword:
薬剤性腎障害
,
間質性腎炎
,
トランスポーター
pp.435-441
発行日 2010年4月15日
Published Date 2010/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542102281
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
はじめに
腎臓は排泄臓器であり,肝臓とならび薬剤による副作用を最も受けやすい.全血液量の約4分の1にも及び,多量の薬物負荷がかかる,腎尿細管細胞では管腔側,基底膜側(毛細管側)のいずれからも取り込まれ蓄積する,濾過水分量,尿量の減少により沈殿析出する,局所での代謝産物の産生による直接傷害などが相乗的に作用する.急性から比較的緩除に慢性に経過するものまで様々で,高齢者,女性に頻度が高く,遺伝,生活習慣(喫煙,運動),免疫機能低下,肝機能,心機能などのほか臓器機能とも密接にかかわり,腎機能障害,高血圧,糖尿病,動脈硬化などの基礎疾患のうえに,薬物動態や代謝の低下,薬物の構造,作用特性など多くの因子が加わり病態が形成される.したがって病像は急性腎不全,CKD,ネフローゼ症候群,尿細管障害など多彩を極める.
わが国では詳細な疫学調査研究は少ないが,起因物質として抗菌薬,NSAIDs(nonsteroidal anti-inflammatory drug:非ステロイド系坑炎症薬),抗腫瘍薬,造影剤,降圧剤,坑リウマチ薬剤,ハーブ,最近では健康食品などなど,広く病因にかかわる成分が特定されている1).
Copyright © 2010, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.