シリーズ最新医学講座・Ⅱ iPS細胞・6
ヒトiPS細胞からの赤血球誘導
辻 浩一郎
1
Kohichiro TSUJI
1
1東京大学医科学研究所・先端医療研究センター・細胞療法分野
キーワード:
embryonic stem cells
,
induced pluripotent stem cells
,
blood cells
,
blood transfusion
,
hematopoietic stem cells
,
erythropoiesis
Keyword:
embryonic stem cells
,
induced pluripotent stem cells
,
blood cells
,
blood transfusion
,
hematopoietic stem cells
,
erythropoiesis
pp.737-743
発行日 2009年6月15日
Published Date 2009/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542102006
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はじめに
当初再生医療の最終兵器のように思われたヒト胚性幹細胞(embryonic stem cells:ES細胞)には,生命観,宗教観に根ざした倫理的な問題があり,その臨床応用が社会的に容認されるまでには,まだ少し時間が要すると予想される.また技術的にも,移植免疫の克服という課題があり,その解決のための核移植技術がクローン胚という新たな倫理的問題を生み出している.そうした状況の中で,ヒト体細胞である線維芽細胞からES細胞と類似する性質を有するヒトiPS細胞(induced pluripofent stem cells)の作製が報告された1).
われわれは,これまでにヒトES細胞から赤血球への分化誘導について研究をしてきた2,3).もしヒトiPS細胞がES細胞と同等の性質を有する細胞であるならば,われわれが開発したヒトES細胞から赤血球への分化誘導法は,iPS細胞にも応用可能であると考えられ,現在その検討を行っている.本稿では,われわれが開発したヒトES細胞から赤血球への分化誘導法を紹介するとともに,ヒトiPS細胞由来赤血球の臨床応用の可能性にも言及する.
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