特集 ホルモンの病態異常と臨床検査
各論Ⅱ 多臓器,組織におけるホルモン相互間作用
11.加齢,老化
宮尾 益理子
1
,
大内 尉義
2
Mariko MIYAO
1
,
Yasuyoshi OUCHI
2
1公立学校共済組合関東中央病院代謝内分泌科
2東京大学大学院医学研究科加齢医学講座老年病学
キーワード:
エストロゲン
,
閉経
,
成長ホルモン
Keyword:
エストロゲン
,
閉経
,
成長ホルモン
pp.1373-1378
発行日 2008年10月30日
Published Date 2008/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542101800
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加齢に伴うホルモン分泌の変化
加齢に伴って最も劇的でよく知られる内分泌的変化は,女性における卵巣機能の低下により生じる閉経である(menopause).そのほか,GH-IGF-1系のGH(growth hormone:成長ホルモン),IGF-1(insulin-like growth factor-1),男性の視床下部-下垂体-性腺機能系であるテストステロン(testosteron;T),副腎皮質機能系のデヒドロエピアンドロステロン(dehydroepiandrosterone;DHEA),その硫酸塩(DHEA-sulfate;DHEA-S)濃度の直線的な低下が知られ,menopauseにならってsomatopause,andropause,adrenopauseと呼ばれる(図1)1).加齢に伴う変化に関し,各年代での正常値が概ね求められ,各臓器の機能低下,骨粗鬆症,動脈硬化性疾患,筋力低下,記憶保持,認知機能などとの関連が推測され,抗老化作用を期待してそれぞれのホルモンの補充療法も行われている.一方,副腎皮質刺激ホルモン(adrenocorticotropic hormone;ACTH),副腎皮質ホルモン(コルチゾール,アルドステロン),甲状腺刺激ホルモン(thyroid stimulating hormone;TSH),甲状腺ホルモンなどの個体の生命維持に関係するこれらのホルモンの加齢変化は比較的少ない.視床下部ペプチドであるドパミン,ノルアドレナリン,セロトニン,コリンは一般的に減少することが知られている2).
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