学会だより 第49回日本臨床細胞学会総会
細胞学・基礎と臨床の架け橋 「肺多形癌の細胞像」のワークショップに参加して
羽場 礼次
1
1香川大学医学部附属病院病理部
pp.1184
発行日 2008年10月15日
Published Date 2008/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542101733
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第49回日本臨床細胞学会総会が,2008年6月6~8日に東京慈恵会医科大学産婦人科の安田 充教授のお世話によりグランドプリンスホテル新高輪で開催されました.4,000人以上の医師(産婦人科医,内科医,外科医,病理医など)や細胞検査士,臨床検査技師が参加され,盛会裏に全日程が終了致しました.今回の学会のメインテーマは「細胞学・基礎と臨床の架け橋」で,患者さんの癌診療に直結する臨床細胞診断学だけではなく,基礎診断学である免疫組織化学や電顕,フローサイトメトリー,細胞培養,分子生物学にも焦点をあて,両者が調和される形で特別講演,教育講演,シンポジウム,ワークショップ,公開講座,国際フォーラム,一般演題による発表が行われました.この中でワークショップの「肺多形癌の細胞像」に参加し,発表する機会をいただきましたので御紹介したいと思います.
肺の多形癌は高齢者に発生するまれな腫瘍で,その大部分は喫煙者です.非常に予後の悪い腫瘍で,化学療法や放射線療法が効きにくいことが特徴です.発生部位は肺上葉の末梢が多く,しばしば巨大な腫瘍を形成します.病理組織学的には,1999年のWHO分類(第3版)で初めて掲載された組織型で,紡錘細胞あるいは巨細胞を含む扁平上皮癌,腺癌,大細胞癌,あるいは紡錘細胞と巨細胞のみからなる腫瘍です.特に紡錘細胞や巨細胞などの肉腫様細胞が,10%以上を占める場合を多形癌と定義します.臨床像,病理組織像とも特徴的な所見があるにもかかわらず,細胞学的な報告は散発的で,今回ワークショップで議論されたことは大変意義深いと思われました.
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