今月の表紙 臨床微生物検査・7
Clostridium difficile
國島 広之
1
Hiroyuki KUNISHINA
1
1東北大学大学院内科病態学講座感染制御・検査診断学分野
pp.722-723
発行日 2008年7月15日
Published Date 2008/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542101657
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1.Clostridium difficileについて
Clostridium difficileは,抗菌薬投与後にC. difficile関連下痢症(C. difficile associated diarrhea;CDAD)を起こす起炎菌であることが知られているとともに,欧米では本菌による病院感染ならびに集団感染事例が多く報告され,感染対策における主要な微生物の一つとして認知されている.医療施設における下痢の糞便検体を取り扱う際は,本菌を最も考慮する必要がある.
C. difficileは,1935年にHallとO'Tooleが健常新生児の便から発見し,培養が遅く困難(difficult)であることからC. difficileと命名された.大きさは0.5~1.9×3.0~16.9μmの偏性嫌気性のグラム陽性桿菌である(図1).環境中に広く分布し,ヒトだけでなく犬や猫などからも検出される1).健康乳児の便からは20~40%分離されるとともに,成人においても健常保菌者がみられ,入院患者では無症候性保菌者として分離されることも多い2).
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