今月の主題 感染症とバイオハザード
技術解説
Clostridium difficileの検査法
上野 一恵
1
,
小林 とよ子
1
,
渡辺 邦友
1
1岐阜大学・嫌気性菌実験施設
pp.520-525
発行日 1980年5月15日
Published Date 1980/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542915456
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偽膜性腸炎は古くからみられており,消化管手術後に続発する発熱,腹痛,白血球増多,粘液,血液便を伴う激しい下痢で,重篤な場合には死に至る.偽膜性腸炎の原因については多くの報告がある.ところが近年,偽膜性腸炎は抗生剤投与と密接な関係を有し,その原因として腸内常在菌叢中の毒素産生性のClostridium difficileが注目されてきた,偽膜性腸炎患者の糞便中からC.difficile及び毒素が証明されることも明らかとなってきた.また外科領域では,術後下痢とか偽膜性腸炎の早期鑑別及び予防に,患者糞便中の毒素産生性のC.difficileの検索に関心が持たれている.
しかしC.difficileは嫌気性菌の中でも培養の困難な菌種の一つである.本報ではC.difficileの分離同定法及び毒素証明法について述べる.
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