シリーズ最新医学講座・Ⅰ 糖鎖と臨床検査・7
Helicobacter pylori感染と糖鎖
星野 瞳
1
,
中山 淳
1
Hitomi HOSHINO
1
,
Jun NAKAYAMA
1
1信州大学大学院医学系研究科病理組織学講座
キーワード:
Helicobacter pylori
,
糖鎖
,
胃粘液
Keyword:
Helicobacter pylori
,
糖鎖
,
胃粘液
pp.817-822
発行日 2008年7月15日
Published Date 2008/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542101654
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はじめに
1983年にMarshallとWarrenによって胃粘液中から発見,分離されたHelicobacter pylori(H. pylori)は,体長2~4μm,幅0.5μmのグラム陰性らせん状桿菌で,世界人口の約50%に感染している.H. pyloriはその感染の成立や維持のため,胃上皮細胞やヒト免疫系との密な関係を構築し,その宿主側の破綻により萎縮性胃炎,消化性潰瘍,さらには胃癌や胃のMALT(mucosa associated lymphoid tissue)リンパ腫の発症へとつながる1).
本稿では糖鎖の観点からみたH. pyloriと宿主とのかかわりについて2),最初にリポ多糖血液型関連糖鎖の発現意義を,次いでH. pyloriに存在する細胞接着分子であるアドヘジンと胃上皮細胞で発現する糖鎖リガンドの関係について概説し,最後にH. pylori感染胃粘膜における腺粘液特異糖鎖であるα1,4GlcNAc含有O-グリカンの役割についてわれわれの研究成果を中心に紹介する.
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