特集 知っておきたい小児分野の医療機器
各論 医療機器の仕組みと効果 モニタリング機器 近赤外光分光法(NIRS:near-infrared spectroscopy)
日下 隆
1
,
中村 信嗣
1香川大学 医学部小児科
キーワード:
Oxyhemoglobins
,
脳循環
,
未熟児
,
近赤外分光法
,
低酸素性虚血性脳症
,
Deoxyhemoglobin
Keyword:
Cerebrovascular Circulation
,
Infant, Premature
,
Spectroscopy, Near-Infrared
,
Oxyhemoglobins
,
Hypoxia-Ischemia, Brain
,
Deoxyhemoglobin
pp.502-509
発行日 2020年4月1日
Published Date 2020/4/1
DOI https://doi.org/10.24479/J00648.2020230091
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<Key Points>(1)装着方法:「光」計測装置であることから、外(射)光は、計測時の天敵である。計測するためのプローブに外光が入ると正確な測定ができなくなる。このため、NIRSプローブの装着は、その送受光プローブがしっかりと装着面に接していることが絶対必要条件である。(2)値の解釈:動脈血Hb酸素飽和度と異なり、脳内Hb酸素飽和度(ScO2)には静脈と動脈両方のHb情報が入っている。つまり、ScO2は動脈血・静脈血中の酸素化Hb変化を反映しており、高値を認めるときには、「動脈血中酸素化が増えた(酸素供給が増えた)」、「静脈血中に酸素化Hbが増えた(酸素消費が減った)」という、酸素供給・消費のバランスを考慮する必要がある。すなわち重度の脳障害の場合、正常脳組織が障害を受けると酸素消費が減ることから、ScO2は上昇する。逆に正常脳組織が残る場合には、低下することも考えられる。(3)異なる機器間での基準値:さまざまな種類のNIRS機器が開発され、各メーカーによって測定原理、アルゴリズムが異なる。このため各機器による測定値は、基本的には「異なるもの」として考えるべきで、とくにScO2の絶対値については、動脈血酸素飽和度のように基準値を統一することが困難であるため、機器間の基準値の取り扱いには十分注意する必要がある。
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