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血管内視鏡による黄色プラークの評価
血管内視鏡では正常な血管壁は白色平滑であるのに対して,動脈硬化性病変は黄色プラークとして認められる.血管内視鏡によるプラークの評価はGrade 0〜Grade 3とその黄色調の程度によって4段階に分類されている(図1)1).すなわち,正常な血管壁の白色(Grade 0)に対して,黄色プラークの色調は淡黄色(Grade 1),黄色(Grade 2),濃黄色(Grade 3)と評価される.大部分の急性心筋梗塞や不安定狭心症は黄色プラークが破綻し血栓が形成されることによって発症する.急性心筋梗塞や不安定狭心症の責任病変でなくても無症候性に黄色プラークが破綻して,その部位に血栓が観察されることも稀ではない.急性心筋梗塞症例において3冠動脈枝を血管内視鏡で観察したところ,責任病変(図2:8,9)以外にも多くの黄色プラーク(図2:1〜7,10〜12)が認められ,動脈硬化が冠動脈全体で進行していることが示された2).また,冠動脈1枝に認められる黄色プラークの個数が0または1個の症例に比して,2個以上認められる症例のほうが将来急性冠症候群を発症する頻度が有意に高いことが示されており(図3)3),黄色プラークをより多く持つ症例ほど,将来の急性冠症候群発症リスクが高いと考えられている.
つまり,血管内腔面からの観察において,白色平滑な内視鏡的に正常な血管壁で血栓性イベントを生じることはほとんどなく,黄色プラークの破綻によって急性心筋梗塞,不安定狭心症などのイベントは生じる.また,狭窄度の進行も黄色プラークの破綻,血栓形成およびその治癒過程によって生じると考えられており,あらゆる動脈硬化の進行過程に黄色プラークの形成〜破綻〜治癒過程が関与していると考えられている.
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